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LPガスの保安技術

経済産業省によるLPガス販売事業者トップヒアリングについて

液化石油ガス法(以下「液石法」)は、事業者による保安の確保・高度化の努力が適切に実施されることが前提となっております。経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」)は、その実施状況につき、液石法対象の大手事業者社長へのヒアリングを行ないました。このたびその結果が公表されましたので、概要を紹介いたします。


  ヒアリング対象事業者数および実施時期

22社、実施期間2005年8月10日〜11月1日


  ヒアリング結果概要

(1)保安確保、コンプライアンス等に係る考え方
  多くの経営者は、事故の発生は企業経営に与える影響が非常に大きく、企業の存続にも関る重大な問題になると認識している。
  保安理念や保安確保のためのメッセージ、コンプライアンス重視の考えを役員・従業員に対して発している。
  その一方で、経営者はそれらの保安重視の考え方について従業員全体に伝え、共有することの困難にも直面している。

(2)具体的な保安対策
  多くの経営者は、事故の発生は企業経営に与える影響が非常に大きく、企業の存続にも関る重大な問題になると認識している。
  保安理念や保安確保のためのメッセージ、コンプライアンス重視の考えを役員・従業員に対して発している。
  さらに、コンプライアンス経営の徹底として、社内委員会等の設置に加え、米国のマネジメント手法(COSO:Committee of Sponsoring Organizations of Treadway commission)を導入している企業もあった。
  自然災害対策としては、緊急時の連絡として必ず通信が確保される手段を講じ、緊急時には少なくとも30分以内にトップまで何らかの報告がされるよう連絡体制を構築している事業者が見られた。
  また、地域の自治体と協力して防災訓練を行なう等の活動をしている事業者が見られ、地域における責任を果たすべく行政との連携・協力を実施しつつあるといえる。

(3)保安に係る懸念事項
  各企業においては、保安確保のため種々の具体策を講じて対応に努めているが、次のような問題や懸念事項が発生し、その解決も大きな課題になっている。

  1. 切替え時の保安点検
    切替えが日常茶飯事のように行なわれるため、切替えの作業に時間がとられ、それだけの人員が確保できているのかという、切替え作業に対応できる人材の確保に対する懸念について発言があった。
  2. 消費設備の点検
    消費者との関係(不在・拒否等。特にアパート)により、消費設備調査の実施が困難な状況が発生していることを指摘する発言が多くみられた。
    ただし、その一方で、調査期間を短縮して、保安を顧客との信頼関係を構築するための手段としてうまく活用しようとしている事業者もみられた。
  3. 業務用施設への懸念
    業務用厨房での事故発生について、アルバイト従業員への保安教育が行き届いていない点等について心配する発言もあった。
  4. 買収時の設備問題
    買収時に前の事業者が設備更新等を確実に行なっていないことが判明することについて、特に中小零細事業者において事業継続との関係で、保安確保に対する懸念すべき状況が発生しつつあるとの指摘も多い。
    さらに関連して、LPガス業界全体の信頼の低下につながるものとして懸念が表明された。
  5. 法令違反への対応
    法令違反に対しては、下記のような意見があった。
      ●点検・調査の指摘について、保安センターでも人によってばらつきがある。
●前記4のような設備面での問題は、地方自治体の段階できちんと指導してもらうことが必要。
●地方自治体と国とで指導レベルに格差がみられ、地方自治体が所管する事業者に対しては甘い。
●違反者にはシビアに対処してほしい。

(4)今後のLPガス事業について
  1. エネルギー間競争等
    エネルギー間の競合激化や地方の人口減少などに伴う販売面の不安や危機感が示され、企業としての生き残り策を真剣に模索する姿勢がみられる。
  2. バルク供給システム
    配送効率化・安全性の高さ等から積極的に推進するとの声がある一方、「いろいろな問題が出ている」、「しばらく様子をみる」、「バルク貯槽が高額」等の意見もあった。
  3. 行政への要望
    1)今後の業界全体の方向性としてビジョンを示してもらいたい。
2)業界の一元化を図ってほしい。
3)ガスに係る監督官庁を一本化してほしい。
4)販売事業者と保安機関を一つの行政庁で指導してもらいたい。
5)認定販売事業者制度は消費者にあまり知られておらず、実質的なメリットがない。
6)集中監視は、通信技術の進展に伴い対応が困難になっている。
7)認定販売事業者制度は、営業譲渡を受けると集中監視の比率が低下してしまう。
8)メータ期限切れへの県の指導を厳しくやってほしい。
9)充填所統廃合の補助金制度の対象を広げてほしい。


  保安をめぐる現状認識および総括評価

  1. 業界大手事業者の経営者と積極的な意見交換を行なうことができ、非常に有意義なヒアリングであったと考えられる。
  2. 保安確保とコンプライアンスの徹底が重要であるとの認識が表明される一方、従業員まで行き渡らせることに苦労していることが伺うことができた。
  3. 様々な経営者とヒアリングを行ない、保安に対する取り組み方・考え方もバラエティに富んでいるものといえる。
  4. 大手事業者としては、保安の確保のための設備更新は着実に行なっているが、企業買収を積極的に行なっている企業が多く、その際に設備改善等の保安対策が改めて必要とされる状況も発生している。
  5. 経営者側が重要とすることについて、従業員に十分浸透しているかの確認が行なわれていない場合もあり、実際には従業員は経営者の考えどおりに動いていないことがある。このことは、最近あったいくつかの法令違反事例にも見られる。
  6. しかしながら、従業員への保安教育により油断等の発生防止を図り、さらに、他の事業者(特に買収等の対象となる中小事業者)の保安対策について懸念を有し、事故防止の観点、LP業界全体の信頼性維持のためにも危機感を持ってしっかりした対策を行なうべきと考えている経営者も多かった。
  7. 一方において、LPガス販売に係るネットワークを活用しながら、他の事業への進出も積極的に行なわれており、LPガス業界の活力が伺われた。
  8. LPガス関連企業においては、これら大手事業者のトップにおける保安確保の意識とその取り組みを参考例とし、全体としてより一層の保安対策に取り組むことが期待される。



  今後の展開について

  1. 行政としては、今後とも法令違反等に対しては厳格に対応を行なっていくとともに、行政に対する要望も踏まえて的確な運用を実施していくこととしている。
  2. 今後については、平成18年度LPガス販売事業者等保安対策指針にエッセンスを盛り込み、事業者等における活用を促す。
  3. 今回のトップヒアリングの成果が有意義なものであったことから、今後とも必要に応じて今回対象以外の事業者を含め、時機をみてヒアリングの実施を検討していく。



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