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ガス体エネルギー産業に係る保安規制の在り方について
作成日 02.09.20
ガス体エネルギー産業に係る保安規制については、
以下の趣旨にて
2001年6月に経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)長の私的検討会として
「ガス体エネルギー産業に係る保安規制に関する検討会」が設置され、「ガス体エネルギー産業に係る保安規制の在り方について」の検討が実施されてきました。
[検討会設置趣旨]
保安院の設立により、
ガス体エネルギー産業に係る保安規制を一元的に実施する体制が整備され、
ガス関連の技術基準の性能規定化も2001年3月に完了したことより、このような行政体制や法令の整備の効果が一層発揮されるよう、
ガス事業法、液化石油ガス法、高圧ガス保安法の規制内容についてレビューを行い、望ましい保安の在り方について基本的な考え方の整理を行う。
資源エネルギー庁「ガス市場整備基本問題研究会」において実施されている
事業規制の在り方についての検討を踏まえて、
ガス体エネルギー産業の保安レベルの維持・向上を図る上で
保安規制は如何にあるべきかの検討を行う。
以上のとおりの趣旨で10回の検討会が開催され、「ガス体エネルギー産業に係る保安規制の在り方について」の
最終とりまとめ
が行われましたので、
下記別添資料のとおりその概要について記載しました。
本とりまとめは
保安規制に関する基本的考え方を示して、以下の7項目について検討を行っているが、
現状の問題点の整理及びこれまで実施された保安行政措置の評価であり、具体的問題の検討についても各委員の意見を両論併記として今後の検討の方向性を示したのみであり、かつ、主たる検討課題はガス事業法の在り方となっていることから、LP業界に直接影響を及ぼす内容は記載されていない
が、今後の基本的な方針であり、ガス事業法の検討動向により
LPガス業界にも間接的に影響はあることより、今後とも本とりまとめに基づく動向に注視が必要です。
ガス体エネルギー産業の保安規制を検討するに当たっての基本的事項
規制合理化、性能規定化等についての評価
製造、供給ネットワーク、消費の各段階における保安規制の考え方
消費段階の安全器具の導入状況と効果、ヒューマンエラー対策
消費段階における事業者責任と消費者責任についての考え方
内管ガス工事実施主体についての考え方
保安業務の委託制度についての考え方
なお、保安規制に関する基本的考え方において、
事前規制の合理化・立入検査等の事後措置の強化が示されており、
今後の行政の方針に反映されますので、
事業者側も十分な対応が必要
となります。
別添資料
[ガス体エネルギー産業に係る保安規制の在り方について(概要)]
T.保安規制に関する基本的考え方
ガス体エネルギー産業に係る保安規制の必要性
ガス体ネルギーは、
基盤的エネルギーの一つとして広く国民に利用されているが、事故発生時の影響が大きい可能性を内在していることより、
公共の安全を確保する観点から国が一定の規制を行っている。
保安確保の理念−自主保安の推進
保安規制の実施に当たっては、
事故の影響、事故発生の蓋然性、設備等の技術特性、消費者の状況等を勘案し、民間事業者の現状の保安レベルを踏まえつつ、
事業者の自主保安活動を促進するような規制の内容・手法をとるべきであり、それにより保安レベルの一層の向上を目指すべきである。
このような考え方に基づき、各規制対象分野では各種規制合理化が行われてきており、保安規制においては、
行政による事前規制を必要最小限とし自主保安の促進を図る一方、立入検査等の事後措置をより一層適切かつ機動的に運用することにより、規制の実効性を担保している。
また、平成13年3月までに、技術基準の性能規定化が行われた。
自主保安における行政と事業者の役割
行政及び事業者においては、以下の役割を果たしていくことが重要
である。
行政
規制合理化を推進することにより、
事前規制による直接的関与を必要最小限
としつつ、技術基準・手続き等の基本的なルールを整備する。
事業者の法令遵守状況等を
立入検査等によりチェック
及び事業者作成の詳細基準につき技術基準適合性の評価実施等により、
事後措置をこれまで以上に適切かつ機動的に運用することで、保安規制の実効性を担保する。
事前ルールを明確化するとともに、
事後措置や行政処分の実施状況等を積極的に公表
して説明責任を果たし、透明性のある規制行政を実施する。
消費者の保安意識の向上を図るため、わかりやすい広報等を行う。
事業者
保安確保における自らの社会的責任を認識しつつ、安全性の確認、技術基準に適合する詳細基準の採用等を自己の責任において適切に行い、
自主保安の更なる高度化を図る。
自主保安の取組みや事故情報等につき
積極的な情報提供を行う。
消費者に対する保安情報の周知、啓発等を行い、
消費者保安意識の醸成に努める。
保安行政の取組み方針
今後は、
ガス体エネルギー産業に係る保安規制について一元的な実施体制が整備された
ことも踏まえ、ガス体エネルギー産業につき横断的な観点から、
より整合した保安行政が推進されることが重要である。
その際、保安規制に関する基本的な考え方については、可能な限り共通化し、
その上で、ガスの供給形態やガス種の相違等の
特性に応じた差異を設けることが必要かつ適当な事項については、その技術的・合理的根拠を明確にすることが求められる。
U.ガス体エネルギー産業に係る保安規制の在り方
ガス体エネルギー産業に係る保安規制を検討するに当たっての基本的事項
( 1) 確保すべき保安レベル
我が国のガス体エネルギー産業に係る
保安レベルは国際的にも高いレベルにあると評価できる。
今後、更なる保安の確保を図るためには、
適確な事故分析等を踏まえた対策を推進することが重要
である。
また、従来は事故件数、事故発生率等といった統計的な観点から保安レベルを論じることが一般的であったが、
安全に対する消費者の安心の向上という視点も考慮すべき
である。
消費者の主観により安心の程度は異なるため、例えば、追加的対価を支払っても安心をより確実に得たいと考える消費者に対して
事業者による付加的な保安サービスの提供が行われるなど、消費者の選択肢を広げるような方策を検討することも重要
である。
( 2) 保安確保と費用対効果
一層の保安の向上を図るためには、費用対効果の面や自主保安の推進の観点を踏まえ、
行政が一律な保安規制を課すことは必ずしも効果的ではない。
事故の特性に応じ効果的な事故防止対策を講じることが適当
である。
( 3) 事故原因分析と事故防止対策
事故分析の意義
現行の保安規制の有効性や自主保安の効果等を検証し、今後の方向性や事故防止対策等を検証するための基本的な材料として、
適確な事故分析を行うことが不可欠である。
事故分析は、限定された事故防止対策に活用するのみならず、例えば、都市ガスとLPガスで技術的類似性が一定程度認められる部分については、整合した事故防止対策の実施を検討する材料ともなりうる。
また、事故分析を踏まえ、事業の特性に応じた効果的な事故防止対策を検討・実施することが、保安レベルの更なる向上のために重要である。
事故報告基準の整合性の確保
ガス体エネルギーに係る事故事例を適確に把握し分析を行うためには、
各規制対象分野における事故報告基準が整合化されることが必要
である。
現在の事故報告基準については、
差異を設けることが合理的であるものを除き、
概ね整合化していると考えられるが、細部では整合化されていない部分もみられる。
行政においては、
保安確保の観点から、事故として取り扱うものの考え方を改めて整理し、
更なる整合化の要否について検討を行うべき
である。
また、報告対象となる事故の定義を事業者が適切に認識することが重要であり、
行政においては、事故の定義につき改めて周知を図ることが必要
と考えられる。
相互に比較可能な事故事例の分類・分析
事故発生状況を相互に比較することは、効果的な保安対策の実施を可能にする
ものと考えられる。
行政においては、
都市ガス・液化石油ガスに係る事故事例について、
比較可能なように分類した上で集計し、継続的に比較分析を行うことが必要
である。
消費段階の事故防止対策
消費段階の事故については、都市ガス安全高度化目標、LPガス保安高度化プログラム等の中期的な目標を設定し、
具体的な手順・対策を示した上で
実施するとともに、適切なフォローアップを行うことが重要
である。
また、相互に有効に活用して実施することが重要である。
( 4) 行政による事後措置の在り方
事前規制の合理化・民間事業者の自主保安を基本とする中で、保安規制の実効性を担保するためには、
行政による事後措置(報告徴収・立入検査等)の適切かつ機動的な運用が不可欠
である。
行政においては、今後事後措置のより一層の強化を図るべく、立入検査の実施要領等の整備・充実、検査人員の確保など、
事後措置を実効的に実施するための体制を拡充
するとともに、事後措置の実施状況等につき
積極的に情報公開を行うことが期待
される。
規制合理化、性能規定化等についての評価
( 1) 規制合理化
近年におけるガス体エネルギー産業の
保安規制に係る見直しは、
合理的かつ実効的な保安行政を推進し、自主保安を促進する観点から、
妥当な方向性であるものと評価できる。
行政は、見直しによる新制度の着実な実施を図るとともに、実施状況につき適切にフォローアップを行うことが重要
である。
また、今後とも科学的・合理的根拠に基づき、
規制合理化を積極的に推進していくことが必要
である。
( 2) 性能規定化
ガス体エネルギー産業の
保安規制における技術基準については、
各法において性能規定化が行われており、自主保安の促進、技術革新への迅速な対応等の観点から、その
方向性は妥当であると評価できる。
今後、性能規定化の趣旨が十分に発揮されるためには、
事業者・業界団体や学会・中立的団体等が
性能規定化の意義を十分に認識し、技術革新の動向等を反映した
新たな詳細基準の作成・提案を積極的に行っていくことが期待される。
また、
行政においても、
詳細基準に係る技術基準適合性の評価が迅速に行われる体制の整備など、
民間における動きを促進するための方策を検討することが必要
である。
( 3) 技術基準の整合化
ガス事業法、液化石油ガス法、高圧ガス保安法の
各法における技術基準の内容は、概ね整合しているものと評価できる。
ただし、
一部の技術基準については、その内容が各法間で必ずしも整合化しておらず、
供給形態の相違、ガス種や設備の特性等に応じた技術的・合理的根拠に基づく差異を設ける必要がない限り、行政においては、
これらを整合化する方向で早急に検討していくべき
である。
また、
設備の維持管理手法や経年劣化対策については、
現行では期限管理や点検頻度等を中心に定めているが、欧米での設備の維持管理手法や経年劣化対策の動向につき調査を行い、設備の維持管理に係る
機能性基準の在り方につき検討を行うことが必要
である。
製造、供給ネットワーク、消費の各段階における保安規制の考え方
( 1) 製造・供給段階
製造・供給段階では、万一事故が発生した場合の影響は広範囲に及ぶ可能性がある。
一方、技術革新の進展が著しく、国際整合化の要請が高く、事業者の自主保安能力も優れており、システム管理を導入した保安確保の取組みが積極的に行われている。
したがって、
製造・供給段階については、今後とも自主保安の推進を基本として保安レベルの維持・向上を図ることが実効的かつ合理的
である。
行政においては、
必要に応じ
技術基準の見直し等を機動的に行い、自主保安を一層推進することが必要である。
事業者においては、自主保安の取組みを一層発展させる
とともに、性能規定化の下で積極的な
詳細基準の作成等が期待
される。
( 2) 消費段階
自己責任原則の観点からは、消費者にあっても自己の所有する設備・器具等の保安責任は自ら負うことが妥当
である。
ただし、消費者については、
技術的・専門的な知見を有する者も存在する一方、一般家庭等の消費者については、安全器具普及により相当程度の保安確保可能ではあるが、
技術的・専門的な知見を必ずしも十分に有するものではない。また、今後の高齢化社会の到来も念頭に置く必要がある。
したがって、
行政においては、ガス事業者など保安確保のための技術的・専門的な知見を有する者が消費者保安に引き続き一定の責務を有するとの観点に立ち、保安レベルの維持・向上が図れるような方策を引き続き検討していくことが必要
である。
また、
事業者においては、
消費者に対する
保安情報の周知・啓発等に積極的に取組み、安全器具等の一層の普及を図るとともに、消費者の保安意識や自己責任意識の醸成・向上に努めることが期待
される。
消費段階の安全器具の導入状況と効果、ヒューマンエラー対策
( 1) 安全器具の導入状況と効果
都市ガス・LPガス分野とも安全器具の導入は進んでおり、
消費段階での保安レベルは飛躍的に向上してきたと評価
できる。
しかしながら、安全器具が未導入の需要家もわずかながら存在
し、導入需要家に比較して事故発生率が高い。
よって、
行政及び事業者においては、安全器具の普及が進まない原因等を分析し、一層の普及促進策を検討することが必要
である。
LPガスの質量販売等については、今後器具メーカー等による安全器具等の技術開発及びその普及が進み、一層の保安確保が図られることを期待
する。
( 2) ヒューマンエラー対策
ヒューマンエラー対策としては、
以下の取組みが求められる。また、高齢者のヒューマンエラー防止という視点にも留意
する必要がある。
ソフト面
事業者は消費者に対し、保安確保上必要事項の一層の周知・啓発を図ることが必要。
ハード面
器具メーカー等において、人間工学的視点・簡易操作性の視点等を踏まえた、フェールセーフに基づく安全器具等の開発に期待。
消費段階における事業者責任と消費者責任についての考え方
( 1) 現行の制度
保安責任区分(責任分界点)については以下のとおり
となっている。
都市ガス
ガス栓まで(ガス工作物)が事業者の保安責任
(基準適合維持義務)。
また、敷地内ガス工作物は消費者資産であり、
資産区分と保安区分は一致していない。
LPガス
メータ出口まで(供給設備)が事業者の保安責任
(基準適合維持義務)。
また、一般にメータ出口より先の設備(消費設備)は消費者資産であり、
資産区分と保安区分は一致している。
ただし、都市ガス・LPガスいずれも、事業者は自らが基準適合維持義務を負わない
消費機器ないし消費設備についても、調査等実施及び基準不適合の場合とるべき措置を消費者に通知義務あり。
( 2) 考え方
責任分界点の相違は、
ガス種の特性の差異ではなく、
どこまで基準適合維持義務を負わせるかについての考え方の相違によるもの
である。
都市ガス事業者の責任範囲をLPガス同様メータ出口までとし、責任分界点を整合させることは、保安規制の整合化の観点から望ましいとする考え方がある。
さらに、都市ガスでは資産区分と保安区分が一致しておらず、自己責任原則によれば一致させ、内管からガス栓までの保安責任を消費者が負うことが望ましいとする考え方もある。
また、責任分界点の相違、資産区分と保安区分の不一致はあるものの、事業者に基準適合維持義務を課し、消費者責任の範囲についても調査等の義務を補完的に課している結果、
高い保安レベルが確保されているので、責任分界点の整合化、資産・保安区分の一致は現時点で必要ないとする考え方もある。
責任分界点の整合化、資産・保安区分の一致は、都市ガス消費者の保安責任範囲の拡大となり、消費者において自己の保安責任意識が十分に確立していない現状においては、消費者保安責任範囲の拡大については、基準適合維持義務を実効的に担保する仕組みのあり方も含め、引き続き検討を要するものと考えられる。
消費者保安責任範囲の拡大に当たっては、事業者・消費者とも自己責任原則の下、自らの保安責任を適切に認識しつつ、消費段階におけるより高度の保安レベルが達成される社会を将来的に目指すべきである。
その際には、消費者が自己責任に係る保安確保を自ら行うほか、自らの選択で保安確保を委託できる仕組みづくりを検討していくことが必要であろう。
以上のとおり、
責任分界点の整合化、資産・保安区分の一致については、消費者の自己保安責任意識の醸成・確立や安全器具の普及等の状況をみながら、更に検討されるべき問題と考える。
内管ガス工事実施主体についての考え方
( 1) 現行の制度
ガス事業法では、
ガス事業者にガス工作物の基準適合維持義務を課しており、
内管(敷地境界内からガス栓まで)はガス事業者の責任により行われている。
液化石油ガス法では、液化石油ガス設備士であれば内管の工事可能
であり、基準適合維持義務も当該工事者に課せられている。
( 2) 考え方
自己責任原則を貫徹すれば、内管についても消費者が保安責任を負うべきとの考え方も成り立ちうるところであり、都市ガスの内管工事主体については、
今後消費者の保安意識の醸成・確立や安全器具の普及等に伴い、内管の保安責任も消費者に帰することになった場合には、
一定の技術的・専門的知識と施工能力を有する者に工事を行わせるとともに、その者に技術基準適合義務を課すということも考えられる。
その場合においては、
工事業者の知識・能力等については、
工事業者の資格認定、消費者の工事業者選択の情報提供の徹底等について検討が必要
である。
また、工事業者とガス事業者の保安連携については、
工事業者からガス事業者への通知による情報管理の一元化、緊急時におけるガス事業者と工事業者の協力などの方策を検討していくことが必要
である。
保安業務の委託制度についての考え方
( 1) 現行の制度
液化石油ガス法においては、保安機関の認定制度を導入しており、
液化石油ガス販売事業者は自ら認定を受けて保安業務実施するか、または
保安機関に保安業務の全部又は一部を委託することができる。
ガス事業法においては、ガス事業者が保安業務を行うこととなっており、法定委託制度はない。
( 2) 考え方
都市ガス事業においても、現在一部のガス事業者において
保安業務をグループ会社等の別会社に外注している事例もみられるが、その場合、
事業者の責任の下に外注が行われているところである。
行政としては、保安業務外注に係る現状を適切に把握することが必要である。さらに、今後保安業務の外注の進展、あるいは都市ガス事業における自由化範囲の拡大等の制度改革により多種多様のガス事業者の新規参入が進み、保安の面での懸念が生ずると予想される場合には、保安責任体制の明確化・保安管理サービス主体の多様化や保安の高度化を図る観点から、保安業務に係る委託制度の導入を含め、都市ガス事業における保安に関する責任体制の在り方について検討を行い、保安レベルの維持・向上を図っていくことが必要であろう。
したがって、
都市ガス事業の保安業務に係る委託制度の導入の要否については、当面、保安業務の外注の進展状況や自由化範囲の拡大等の制度改革に関する検討の進捗状況を踏まえ、引き続き検討が行われることが期待される。
また、
LPガス事業における現行の保安業務委託制度は、
販売事業者がその責任の下で一定の保安業務を保安機関に委託するものであるが、将来的に消費者の保安意識の醸成・確立や安全器具の普及等により、
消費者が保安を自己の責任で確保可能となった場合には、消費者が自らの選択で保安管理サービス主体に保安業務委託ができるような仕組みづくりを検討していくことも必要
であろう。
以 上