HOME
> LPガス事業者の皆様へ >
エネルギー動向
>
LPガス産業政策
LPガス産業政策 > ガス体エネルギーの制度改革
2001年 「ガス体エネルギー改革勉強会」
4月23日に、第10回「ガス体エネルギー改革勉強会」が開催され、今回が最終審議となった。前回委員長から提示された「ガス市場整備基本問題研究会」の「ガスの小売と安定供給/供給リスクのグランドデザイン案」に対する
「委員長談話」
が最終として整理された。以下、委員長談話を全文掲載します。
総論――LPガス販売事業者に求められる視点
今日の市場形成は好むと好まざるとにかかわらず、「顧客本位」(消費者本位)の時代を迎えている。LPガス販売事業者においても真の顧客本位を志向し、まず顧客があってはじめてビジネスが成り立つことを再認識しなければならない。LPガス販売事業者が今後とも顧客から支持され、かつ選択されるためには、これまで以上にサービスの向上に努め、経営の効率化等を行い、価格の低廉化に取り組まなければならない。
とくに、顧客利益の増進並びにガス産業の健全な発展を実現するためには、顧客及び事業者によるエネルギー選択の自由度を拡大し、ガス体エネルギー間の競争を一層促進させるとともに、ガス市場における公平かつ公正な競争条件の整備を通じて、ガス体エネルギーを供給する産業全体の経営効率の向上による競争力強化を図ることが極めて重要である。そのことによって、他競合エネルギーに打ち勝つことが可能となるのである。
グランドデザイン案の全体的な感想
一般ガス事業者の事業範囲及び事業活動等に対して、自由化の範囲が総じて限定されている。LPガス事業者の都市ガス事業等への新規参入に対するハードルが全体として高い。
都市ガス事業と簡易ガス事業並びにLPガス事業が、同じガス体エネルギーとして公正かつ公平な競争条件で競争できるかというといくいつかの疑問点が残る。
速やかな構造改革・規制緩和の要請が高まる社会経済情勢の中で、競合エネルギー市場における規制緩和の議論の進捗状況に照らしても、内容が不十分と言わざるを得ない。このグランドデザイン案では、中長期(10年後)のガス体エネルギー産業の全体像が見えてこない。
早晩次の制度改革が必要になることが予見される。その際、「総合資源エネルギー調査会」のガス関係分科会での審議との関係が重要になる。
しかし、すでに新たな制度改革が進行しつつある中、LPガス販売事業者はむしろこのグランドデザイン案を新たなビジネスチャンスとして捉え、LPガス側からエネルギー業界をリードする方策を講ずるべきであろう。
ガス小売業と安定供給のグランドデザイン案について
( 1) 公正かつ公平な競争条件の整備
ガス体産業の制度改革については、より自由で参入障壁が少なく、公益特権や公益支援についても公正な制度を構築し、すべてのガス体エネルギーが平等に移行すべきである。しかし、グランドデザイン案では、そのような内容を具体的に取り入れているとは言い難い。
( 2) 段階的な自由化
基本認識では、「ガス市場における公平かつ公正な競争条件の整備を通じてガス体エネルギーを供給する産業全体の経営効率の向上による競争力強化を図るための施策が必要である。」としている。しかし、「中長期的な制度改革のあり方」のところでは、「自由化範囲を拡大して実績を積み重ねて、需要家利益の実現性や適正性を評価する・・・。」となっている。段階的な自由化がLPガスにとってどのような影響を及ぼすのかを見極める必要がある。
( 3) アンバンドリングの議論
「家庭用を含む小規模需要の自由化が可能と判断され、・・・・ガス市場における公平かつ公正な競争条件を確保するための方法、適用法規のあり方も含め抜本的な見直しを行う。」としている。家庭用が自由化されることが可能と判断された時のみ、公正な競争条件を確保するために、抜本的な見直しを行うとしている。こうした付帯条件なしに公正な競争条件を確保しなければならず、そのためには今後ともアンバンドリング(機能別の事業分割)の議論は避けては通れないものと考える。
( 4) LPガスの料金及び取引の適正化のあり方
LPガスにおける料金の一層の情報開示、取引の適正化等については、法規制は一応見送られた。LPガス販売業界の自主努力により今後とも一層の業界浄化の努力が期待されている。業界としては、取引適正化に向けての検討を早期に開始することが望まれる。とくに、LPガス販売事業者は、消費者から信頼され、選ばれるエネルギーとなるためにも、料金の開示等一層の努力が必要であることは言うまでもない。
( 5) 簡易ガス事業の天然ガス化に伴う課題の整理
現行の簡易ガス事業の原料選択の多様化に伴い、天然ガス利用が可能となることは、需要家や事業者にとって大いに歓迎すべきことである。現行制度との整合性について、検討することとなっているが、簡易ガス事業者が実際に天然ガスを仕入れ、顧客(需要家)に供給できる制度の構築と運用ができることを期待するものである。
( 6) 卸供給・卸託送の実効ある制度と天然ガスの取引市場の創設
卸供給・卸託送については、現在の簡易ガス事業者などの小売事業者が容易に天然ガスを仕入れられる天然ガスのオープン市場の開設など、実効のある制度を構築すべきである。具体的には、例えば、天然ガスの輸入業者は、それを公開入札制により「取引市場」を通じて専門の買取事業者に売り、そこから大中小のガス小売事業者は、託送を利用してガスを需要家に小売する制度などである。
( 7) 紛争処理機関の創設
パイプラインのオープンアクセス制度を利用して、卸託送あるいは小売託送を行うパイプラインをもたない新規事業者のために、パイプライン事業者との契約関係や運用等に問題が発生した場合の処理・解決のための第三者機関である「紛争処理機関」を設けるべきである。
( 8) 大口需要家への対応
自由化の範囲の拡大として、大口需要家の定義の変更については、公平かつ公正な競争条件の整備状況と一体の関係にあり、公平かつ公正な競争条件の整備状況なしに自由化の範囲のみを拡大することは、不公平な競争条件の下での競争となり問題が残ると言わざるを得ない。
( 9) 事業者へのインセンティブ付与
LPガス販売事業者の一層の経営効率化や合理化等を自発的に促すためには、電力事業者や都市ガス事業者に対する支援措置とのバランスを図りながら、LPガス販売事業者へのインセンティブなどを加味した財政上等の支援措置の早期導入が必要である。
今後の課題と展望
今後、行政・ガス供給者・消費者等が一体となって、顧客利益の増進を目的とした消費者本位の制度を構築していくことは時代の要請である。従って、ガス小売自由化についても、自由化範囲を拡大していくことは緊急を有する課題であるが、他方で、さまざまな角度ないし視点から、顧客利益の実現性や適正性等を評価・検証しながら進めていくことも重要である。もちろん、ガスの調達構造の変化や需要動向等の分析は、エネルギー間競合の進展状況なども踏まえ、時機を逸しないよう的確に行われなければならない。
改めて申すまでもなく、LPガス販売事業者はむしろこのグランドデザイン案をこれからのビジネスチャンスとして捉え、LPガス側からエネルギー業界を積極的に変えていく姿勢を示すことが必要である。すでにLPガス販売事業者は、自由化の尖兵として豊富な経験を有しており、市場競争の中で培われてきた経験とノウハウをもってすれば、LPガス産業を21世紀にふさわしい強靭なエネルギーとして大きく発展させることは不可能ではない。LPガスの強みを生かした新たなビジネスモデルの構築が待たれている。
最後に、エネルギーのベストミックスを志向しつつこれからも多角的な事業を展開していくことが、ガス産業が生き残るために不可欠であることを申し添えておきたい。
見解
2001年2月からスタートした「ガス体エネルギー改革勉強会」は、今回をもって終了した。「ガス体エネルギー改革勉強会」は、「ガス市場整備基本問題研究会」の設置に伴い、資源エネルギー庁石油流通課がLPガス業界にとってのガス構造改革の論点整理をおこなうための議論をスタートさせたもので、「ガス市場整備基本問題研究会」に直接意見を反映させるものではなかったが、用語一つとっても難解な制度内容についてLPガス業界の理解のスタートになったことに意義があったと考える。
今後、当面の制度改革のための審議会がスタートし、更に10年後(もっと早いかもしれない)に向けた検討が本格化していくことを踏まえ、よりガス体エネルギーの制度改革の内容を理解し、LPガス業界並びにLPガス事業者としての取り組みが不可欠な時代に突入することになるでしょう。
「ガス体エネルギー改革勉強会」