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LPガス産業政策>ガス体エネルギーの制度改革
2002年 ガス体エネルギー制度改革の解説
ガス市場整備基本問題研究会の検討が終わり、具体的な制度改革を実施するための審議会がスタートします。ガス市場整備基本問題研究会の検討結果を踏まえ、制度改革の方向性と見通しを整理しました。
ガス体エネルギー制度のフロー
制度改革の重要なポイントは「ガスターミナル」、「パイプライン」、「ガスの小売」の3アイテムです。
ガス体エネルギー制度の解説
( 1) ガスターミナルのオープンアクセス
「ガスターミナルのオープンアクセス」とは、主にLNGターミナル(輸入基地)所有者とLNG調達者との関係で、LNGターミナル(LNGサテライト基地・簡易ガス発生設備を含む)を「ガスターミナル」と言い、LNGを調達し他人のLNG基地を利用する事業者のことを「第三者」、その第三者がLNG基地を利用できるようにすることを「オープンアクセス」といいます。
現在、LNGを調達してLNG基地を所有しているのは、電力会社、大手都市ガス会社がほとんどで、電力会社は自社の発電用原料及びLNGの卸売・大口向け小売、大手都市ガス会社は自社の需要家向け小売及び中小都市ガス会社向けに卸売しています。
LNG基地のオープンアクセスは、LNGを調達している電力会社、都市ガス会社及び今後LNGを卸売や小売をしようとする商社、石油会社、外資系の会社等が、LNG基地と導管の利用料を支払って卸売や小売が出来るようにすることを目的としています。
( 2) パイプライン(導管)のオープンアクセス
「パイプラインのオープンアクセス」とは、導管のことを「パイプライン」、他人の導管を利用する事業者を「第三者」、その第三者が導管を利用できるようにすることを「オープンアクセス」といいます。第三者が小売をするために他人の導管を利用することを「接続供給又は託送」、卸売をするために導管を利用することを「卸接続供給又は卸託送」といいます。
パイプラインは、高圧導管、中圧導管、低圧導管を総称しており、都市ガス会社、国産天然ガス会社、電力会社、簡易ガス会社、LPガス事業者の導管が対象となっています。
パイプラインは、LNG輸入基地や国産天然ガスから直接つながっている
「天然ガス導管ネットワーク網」
とLNG輸入基地からローリーで受入れるLNGサテライト及びLPGをローリーで受入れる中小都市ガスやLPGを原料とする簡易ガスの
「個別導管網」
に分けられます。
パイプラインのオープンアクセスは、既存の導管を利用して、導管を所有しない事業者が既存の導管に接続している事業者の需要家へ小売や卸売を出来るようにすることを目的としています。
( 3) ガスの小売
「ガスの小売」とは、需要家に自由価格・自由取引で販売できるようにすることを「小売の自由化」といい、自由に販売できる対象需要家の範囲を「小売自由化の範囲」といい最も重要な検討事項です。「簡易ガスを都市ガスに統合」、「都市ガスの料金規制を緩和」、「LPガスの料金規制の新設」、「都市ガスとLPガスの制度・法律の抜本的見直し」も重要なポイントになっています。
「小売の自由化」
は、現在、自由に販売できる需要家の規模が年間使用量100万m
3
(LPG換算約920トン)以上ですが、この範囲を大幅に引下げる又は全ての需要家まで自由化し、接続供給(託送)を活用し、小売の競争を活発化しようとするものです。
「簡易ガスを都市ガスに統合」
は、簡易ガスを都市ガスに統合し、簡易ガスと都市ガスの原料を天然ガスでもLPガスでも事業者が自由に選択できるようにすることです。
「都市ガスの料金規制の緩和」
は、自由化の対象とならない需要家に対して、ガス事業者がより柔軟な料金設定を行えるようにすることです。
「LPガスの料金規制の新設」
は、LPガスは、元来自由化されている自由取引ですが、消費者の視点に立った料金公表・適正取引・情報公開の仕組みを検討しようとするものです。
「都市ガスとLPガスの制度・法律の抜本的な見直し」
は、都市ガスが家庭用まで全面自由化することを前提に、都市ガスとLPガスとの制度を根本的に見直し一つの法体系にしようとすることです。
2003年から短期間で行われる制度改革
2003年に行なわれようとしている制度改革は、LNG輸入基地や国産天然ガスから直接つながっている天然ガスネットワークを中心としたインフラの開放と小売自由化の範囲拡大が論点となる見通しで、審議会で具体的な検討と決定が行われる予定です。
LPガスに関しては、料金公開・情報公開がポイントで、2000年9月に策定された「業界自主ルール」の実行が出来るか否かが試されることになるでしょう。
( 1) ガスターミナルのオープンアクセス
ガスターミナルのオープンアクセス対象は「LNGターミナル」が中心で、LNGターミナル所有事業者とLNGターミナルの利用を希望する事業者との相対交渉のルールが検討される予定です。
LNGサテライト基地や簡易ガス等のガス発生設備のオープンアクセスは、2003年の制度改革には入らず、それ以降の制度改革として検討される見通しです。
( 2) パイプラインのオープンアクセス
オープンアクセスの対象となる導管は、LNGターミナル及び国産天然ガスにつながっている高圧・中圧・低圧導管を中心に検討される見通しです。
低圧導管のオープンアクセスは、小売自由化の範囲が低圧導管に接続する需要家まで引下げるか否かの検討結果に基づいて決定される見通しです。
LNGターミナルを保有又は利用する事業者及び国産天然ガス事業者から天然ガスを導管で卸購入する中小事業者が所有する導管のオープンアクセスは、LNGサテライト基地や簡易ガス等の発生設備オープンアクセスとの整合性もあり、2003年の制度改革には入るか否かは審議会で検討される見通しです。
( 3) 小売自由化の範囲
ガス小売の自由化範囲拡大は、現在、電気事業分科会(審議会)で検討されている電力の小売自由化のレベルと整合性を合わせていくことになりますが、電力が小売の全面自由化の方針を打ち出したとしても、同時期にガスも全面自由化を打ち出すか否かは今後の検討となるでしょう。
現在、年間使用量100万m
3
(LPG換算約920トン)以上の需要家を対象とした自由取引の範囲が引下げられることは確実ですが、そのレベルとスピードは審議会で検討されることになり、電力の自由化のスピードもポイントとなります。
( 4) 接続供給
天然ガスの卸売をするための卸接続供給(卸託送)が創設され、中小都市ガス事業者や簡易ガス事業者は電力会社等から天然ガスを導管で仕入れることができるようになる見通しです。
天然ガスの小売をするための接続供給の範囲は、ガス小売の自由化の範囲と導管のオープンアクセスの範囲で決まります。従って、個別導管網系の中小都市ガスと簡易ガスの小売託送は、2003年の制度改革には入らず、それ以降の制度改革として検討される見通しです。
( 5) 簡易ガスと原料規制の緩和
簡易ガスの原料は、卸接続供給による天然ガスの卸購入が可能となる見通しです。これにより、原料規制が廃止され簡易ガス事業者はLPガスでも天然ガスでも原料選択できるようになる見通しです。
簡易ガスと都市ガスとの統合の検討も行われる見通しです。統合されることになると、簡易ガスは中小都市ガスの範疇に入り、都市ガスの原料規制も廃止されLPガスを原料としたLPガスストレート供給が行えることになります。
( 6) 都市ガスの供給区域
現在、面(エリア)で設定されている供給区域が、導管からの距離による帯による設定に変更される見通しです。
供給区域の廃止の検討は、2003年の制度改革には入らず、それ以降の制度として検討される見通しです。
( 7) 都市ガスの料金規制
当面、自由化の対象としない家庭用・業務用の小規模需要家に対する料金規制が更に緩和され、前回の制度改革から実施されている選択約款料金(割引料金メニュー)設定の自由度が増し、事業者が需要家ニーズを更に反映できる料金設定が行われる見通しです。
一方、取引の自由度が増すことに対する情報公開や事業者の説明責任を向上させる仕組みが検討される見通しです。
( 8) LPガスの料金規制
LPガスの料金は、消費者への情報提供のあり方として、「料金の公表」や「情報公開を中心とした仕組み」が検討される見通しです。
都市ガスと同じような料金規制は、2003年の制度改革には入らず、それ以降の制度改革で検討される可能性があります。その場合のポイントは、都市ガスが家庭用まで自由化することを前提にした段階で、液石法とガス事業法の制度の整合性を抜本的に検討される可能性があります。
今後10年までの間に行われる制度改革の論点
今後10年の間に行われる制度改革は、2003年から短期的に行われる制度改革の延長線上にあり、「小売の全面自由化の是非」、「ガスターミナルの更なるオープンアクセス」、「パイプラインの更なるオープンアクセス」に向かった制度改革となります。
電力の自由化のスピードと歩調を合わせた制度改革が予想され、今後10年間の中で大幅な前倒し改革の可能性もあり得ます。
( 1) ガスターミナルのオープンアクセス
LNGターミナルのオープンアクセスに加え、LNGサテライト基地やSNGガス発生設備、プロパン13Aガス発生設備、プロパンストレート供給発生設備等のオープンアクセスのための検討が行われることが予想されます。
オープンアクセスが相対交渉でいいのか、LNGの備蓄が必要か否かの検討も予想されます。
( 2) パイプラインのオープンアクセス
パイプラインのオープンアクセスは、家庭用まで含めた小売の全面自由化まで実施するか否かが大きなポイントとなります。
天然ガス導管に限らず、個別導管網の中小都市ガス、簡易ガス等の低圧導管まで開放することの検討が予想されます。
( 3) 自由化の範囲
家庭用と小規模業務用を対象とした小規模需要家までを自由化の対象とする全面自由化が最大の検討論点となることが予想されます。
電力は小売の全面自由化の方向です。ガスも全面自由化とするか、ないしは電力の送電線網と比べガスの導管網が未整備で今後も大きく導管ネットワォーク等のインフラ整備が期待できないので小規模需要家は規制を残す部分自由化に留めるかといった検討が予想されます。
( 4) 接続供給と卸接続供給
天然ガスの卸売をするための卸接続供給は定着していくものと思われ、論点は接続料金の透明性と料金レベルの検討が予想されます。
天然ガスの小売をするための接続供給は、小売の自由化が家庭用と小規模業務用を対象とした小規模需要家まで自由化の対象とする全面自由化になれば、ターミナルとパイプラインのオープンアクセスを活用した託送制度の利用が活発化し小売競争の激化が予想されます。
( 5) 法律の一元化
液石法とガス事業法の一元化は、小売の自由化を家庭用と小規模業務用までを対象とする全面自由化になるか否かがポイントになると予想されます。
家庭用と小規模業務用を対象とした小規模需要家まで自由化となれば、供給区域も廃止され、ガス料金や取引が基本的に自由になりますが、LPガスと都市ガスに共通する需要家の視点に立脚した情報公開、適正取引のための契約ルール、保安の確保等を新たに見直し「新ガス事業法」として統合することの検討が予想されます。
LPガス小売業界当面のポイント
ガス市場整備基本問題研究会の報告で、2003年の制度改革として、
「LPガス料金については、構成で透明な市場形成を通した消費者保護の推進及びLPガス産業の健全な発展の観点から、料金表等の公表は必要であるが、液石法に基づく書面交付義務に加え、LP業界の自主ルールによる取組みも開始されている点も考慮し、より実効性のある消費者への情報提供のあり方を検討する。」
としており。2003年の制度改革は、今後の制度改革への第一ステップと認識すべきでしょう。